love scene 後編
ベッドの前でナオは私の服を脱がし始めた。 「え、ちょっと。ヤダ」 私がナオの手を押さえると、ナオは不思議そうに言う。 「だって着たままだと服にシワついちゃうよ」 「でも……」 やっぱり恥ずかしいし……。 「大丈夫だよ。一緒にお風呂に入った仲じゃん」 うつむいたままの私にナオが明るく言った。だけどそれって十年以上前の話だし……。 ナオの手が再び私の服を脱がそうとする。 「い、いいよ。自分で脱ぐ」 私がそう言うと、ナオは少し残念そうな顔をした。 「そう?」 「うん」 「じゃあ、俺も自分で脱ごう」 ナオがいきなり自分の服を脱ぎ始めたので、なんとなく私は後ろを向いて服を脱いだ。 下着だけになったところでブラも外すかどうか迷う。 「じゃあこれは俺が脱がしてあげる」 そう言ってナオは背中のホックをいきなり外した。 「えっ?」 ブラがふわっと浮き、締め付ける感覚がなくなると急に心細くなる。 私はあわてて手でブラを押さえようとしたけど、ナオが先に私の身体からブラを取り去った。 そして私の肩をつかみ、前を向かせる。 「な、なに……?」 じっと私の胸元を見つめるナオの視線に耐え切れず、私が口を開くとナオがハッとした様子で答える。 「大きくなったね……、ユウちゃん」 「それって、いつと比べて?」 「えと、この前いっしょにお風呂に入ったとき……」 だからそれって十年以上前だよ……。 「じゃあ、こっちに寝て」 私はナオに言われた通りベッドに横になる。ナオも私にそっと覆いかぶさる。 身体中にナオの肌の感触を感じる。心臓のドキドキが伝わりそうですごく恥ずかしい。 私はこっそりとナオの顔を見上げる。 「ユウちゃん、好きだよ」 そう言ってナオは優しく微笑む。私はうれしくてナオの腕をぎゅっと握った。 「ナオ……」 私も好き、って言ったほうがいいのかな。さっき言ったから別にいいかな。ていうか、これってベッドシーンの練習なんだっけ。どうすればいいんだろう……。 そんなことをいろいろ思っていると、ナオが私の唇にキスをした。 唇の間に舌が差し込まれる。私も舌先でそっと触れてみる。舌先で触れた感触は、思ったよりも全身に広がっていく。 ナオは唇をゆっくりと離し、私の首筋に舌をはわせる。 「んっ、うん……」 くすぐったいような不思議な感覚に、私の口から思わずため息と声が漏れる。 ナオの手が私の胸をそっとつかむ。あたたかくて、ちょっと気持ちいい。ゆっくりとナオが胸を揉むように手を動かす。 耳元でナオの呼吸がすごく大きく聞こえる。 「ユウちゃん……」 「うん……」 「好き」 私はその言葉で自分の身体が熱くなっていくのを感じる。 「わたしもナオのこと好き」 自分で言葉にすると、さらに体温が上がった。 「うれしい」 ナオはにっこり笑い、私の唇にキスをした。キスしながらナオは私の胸の、乳首あたりにそっと触れる。ゆっくりと指先で刺激されるとかたくなっていくのがわかる。 ナオはキスしていた唇を離し、その乳首に唇をつけた。 熱くて、やわらかい舌が、かたくなった乳首に触れると身体がフワフワする感じがして、私はナオの腕をつかんだ。 「気持ちいい?」 「たぶん……」 「たぶん?」 たぶん……、気持ちいいんだと思うけど、なんかよくわかんない気もするし……。 ナオは気にせず私の胸をペロペロとなめる。もう片方の胸はさっきよりもちょっと強く揉まれる。 だんだんと自然に私の吐く息が多くなる。 「はぁ、はぁっ……。なんか……、気持ちいいかも」 「うん」 ナオがちょっとうれしそうに答える。 ナオの手は下のほうに伸び、私の太ももを軽くなぞるようになでる。 そしてナオは私の下着の中にそっと手を入れようとする。 「ちょっと待って。ベッドシーンってこんなことまでするの?」 私がそう言うと、ナオは手を止めて私の顔を見て、ちょっとごまかすように笑って答えた。 「いちおう」 「いちおう……?」 納得したわけじゃないけど特に抵抗しないでいると、ナオの指が私の下着の中を確かめるように探った。 私のそこは、濡れてて……、ナオの指はすべるように私の奥に入っていく。 「ん……」 身体の奥に触れられて、思わず息が止まる。ナオの指が私の中でゆっくりと動く。 「あ、はぁ……、あん……」 息が、声が私の口から漏れる。 「ユウちゃん」 ナオが私の名前を呼ぶ声が優しくて、なんかよけいにドキドキしてくる。 「気持ちいい?」 ナオにそう聞かれ、私は黙ってうつむいたままうなずく。 「かわいい」 ナオは私の頬にキスしてそう言った。もうなんか恥ずかしすぎてどうにかなりそう。 「パンツも取っちゃうね」 そう言ってナオは私の下着に手をかける。 「えっ? ちょっと待って……」 抵抗する間もなく下着は取り払われ、ナオは私の股の間に顔をうずめた。 「えっ? うそっ? やっ、やだぁ、あっ……」 クリのあたりを舌で触れられ、身体がビクッと震える。ナオはそのあたりをゆっくりと舌を動かしてなめる。 「あっ、はぁ、あん……」 じっとしていられないほどの快感が身体中に広がっていく。私は枕をぎゅっと握ってそれを感じる。 気持ちよくて、ナオになめられた場所から身体全部溶けていきそう……。 「あっ、はぁっ、なんか……、なんかすごい」 「すごいんだ……」 ナオはゆっくりと身体を起こし、私をぎゅっと抱きしめ、そして耳元で言った。 「俺、もうガマンできない。いれてもいい……?」 「でも……」 私がそう言うと、ナオは自信ありげに答える。 「大丈夫。俺、持ってるから」 そう言ってナオはベッドの横にある引き出しを開け、何かを取り出し、私に見せた。 コンドーム……、かな? 「持ってたんだ」 「うん、付ける練習もしたから大丈夫。ね……?」 ナオは甘えるように私の目をじっと見る。 私はそんなナオの顔とか行動とか、全部すごくかわいく思えてきた。 「いいよ」 私がそう言うと、ナオはうれしそうににっこりと笑った。 「ちょっと待ってね」 そう言ってナオは自分の下着を脱ぎ始めた。私は目のやり場に困って、なんとなく壁にかかった時計を見る。秒針の動きがやたらとゆっくりに感じる。 「これで大丈夫」 ナオが私の手を取り、何かを握らせる。薄いゴム越しの、かたくて……。 「大きくなったね……、ナオ」 私がそう言うと、ナオが首をかしげて微笑む。 「それって、いつと比べて?」 「この前お風呂に入ったとき……」 「そうかも」 ナオは楽しそうに笑った。私はなんか変なこと言っちゃった気がしてちょっと恥ずかしくなった。 「じゃあ、いれるね」 「うん……」 緊張で私はナオの腕をぎゅっと握る。ナオはちょっと心配そうな顔で私を見て言う。 「痛いかな?」 「さぁ……」 私が聞きたいんだけど……。 「痛かったらごめんね」 そう言ってナオはゆっくりと、私の中にそれを差し込んだ。奥のほうに入っていくほど身体中に広がる衝撃が大きくなる。 私がナオの腕にぎゅうっとつかまると、ナオが心配そうな声で聞く。 「痛い?」 「うん、ちょっと痛い……」 私がそう答えると、ナオが耳元で小さな声で言う。 「ごめんね、俺気持ちいい……」 「そうなんだ」 私がナオの言葉にちょっと笑うと、ナオもちょっと恥ずかしそうに笑った。 「わたし、ナオのこと好き」 「俺も、ユウちゃんのことすごく好きだよ」 ナオは私の頬をそっとなで、唇にキスした。 舌が深く差し込まれる。口の中を舌で触れられると、身体の力が抜けていく。幸せな感じが身体中に広がる。 私の身体の奥はちょっと痛いのに、ナオのものをぎゅっとつかんでる気がする。 キスしてる唇からだんだんと熱い息が漏れる。 「ちょっと動かしていい?」 ナオが唇を離して言う。私がうなずくと、ナオはゆっくりと腰を動かした。 痛いけど、なんか身体の奥から全体が揺さぶられるような変な感じ。それで自然に声が出てしまう。 「んっ、あっ、あん……」 「もういきそう、俺」 「うん……」 「ユウちゃん……」 さっきよりちょっと激しく腰を動かす。ナオの吐く息が熱い。 「あっ……、はぁ、はぁ……」 ナオは私の身体を強く抱きしめ、頬ずりした。 「気持ちよかった……」 私の耳元でナオがつぶやく。私はナオの髪をそっとなでてみる。 ナオはちょっと恥ずかしそうに顔を上げて微笑み、私の唇にキスした。 「そういえばラブシーンのある映画っていつ観られるの?」 家に帰る前に、ふと思い出してナオに聞いてみた。 「えっ、えっとね……」 ナオは言葉につまり、斜め下を見つめた。 この感じ、なんか覚えがあるような……。ナオがこういう態度するときって……。 「もしかして……、映画の話って、嘘?」 私がそう言うと、ナオはちょっと気まずそうに微笑んだ。 「映画の仕事があるのはホントだよ。去年出てたドラマの……」 「去年出てたドラマって、あの子供向けの特撮ヒーローもの? ベッドシーンなんてあるわけないじゃん」 私がそう言うと、ナオはしょんぼりしてうつむいた。 「ごめん」 「もう、バカみたい」 私がちょっと怒った口調でそう言うと、ナオは心配そうに私の顔をのぞきこんだ。 「怒ってる?」 「さぁ?」 「嫌いになっちゃった……?」 その質問に私はちょっと笑ってしまった。 すぐばれるようなくだらない嘘ついても憎めないのは子どものときから変わらないなぁ。 「嫌いじゃないよ」 「ホント?」 「好き」 「俺も」 ナオは私をぎゅっと抱きしめた。 私は嘘つきでバカでかわいいナオが好き。 私もナオの背中をそっと抱いた。 end. love scene 前編へ 小説 index HOME written by nano 2008/07/12 |